骨粗鬆症について

骨

骨粗鬆症

日本人の平均寿命は、男性79.55歳、女性86.30歳です。(2010年時点)。一方、健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳です。約10年は、誰かの世話にならなければなりません。

 

最近、健康寿命という考えが注目されています。単に長寿を目指すだけでなく、自分の身の回りのことができる寿命を延ばそうという考えです。

骨粗鬆症の観点から言えば、早期からの運動療法、食事療法を含む治療を行うことにより、骨折を予防し、寝たきりを予防(健康寿命の獲得)することができます。

 

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骨粗鬆症とは

骨量減少が何らかの原因で病的に亢進した状態が骨粗鬆症で、本来緻密である骨が空洞化することにより骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気のことです。

 

骨粗鬆症と骨折

骨が脆くなるため、尻餅や屋内での転倒だけで、背骨や大腿骨の骨折を受傷してしまいます。骨粗鬆症で一度骨折してしまうと、適切な治療を受けることができなければ、次々と骨折を引き起こす可能性が高くなります。

 

骨粗鬆症とねたきり

高齢者が骨折すると治りにくく、骨折した人の5人に1人は寝たきりになるといわれています。一度骨折すると、運動機能がさらに衰えてしまい、寝たきりになりやすくなります。

 

骨粗鬆症と死亡リスク

骨折と死亡のリスクを研究した結果では、大腿骨頚部骨折-足の付け根の骨折は、その骨折を起こしていない人と比べ、6.7倍死亡のリスクが高まります。

また、椎体骨折-背骨の骨折ではなんと8.6倍にも死亡のリスクが高まります。

 

骨粗鬆症の血管障害

意外と思われるかも知れませんが、骨粗鬆症(骨代謝亢進)は、脳卒中、心筋梗塞と深い関係があることが、最近注目されています。

死の四重奏とよばれる(1)肥満(2)高血圧(3)糖尿病(4)高脂血症にも勝るとも劣らないくらいに、心臓血管病の危険リスクであることが、解明されてきています。

プレゼンテーション1

骨粗鬆症の検査

①骨密度検査

本邦では、主に二重X線吸収法(DXA)やX線写真濃度測定法(RA)を用いて診断されています。当院では、X線写真濃度測定法を採用しています。

 

②腰椎、胸椎の単純レントゲン検査

腰椎、胸椎の新規骨折の有無の確認を行います。疼痛もないのに、レントゲンをチェックする必要があるのかと思われるかもしれませんが、2/3程度の方は、骨折があっても無症状といわれています。治療後も新規の骨折が発生するようであれば、治療内容の変更が必要なため、検査が必要です。

 

③採血検査

骨に関するバランスや、カルシウム濃度のチェックを行います。これらは、治療薬剤の決定のために必須の検査となります。定期的に行う必要があります。

 

骨粗鬆症の主な治療薬

 

活性型ビタミンD3製剤
食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。

最近では、骨以外の作用として、免疫の調整作用、筋肉増強作用、抗動脈硬化作用なども注目されています。

ビスフォスフォネート製剤
骨吸収を抑制することにより骨形成を促し、骨密度を増やす作用があります。治療薬の中で有効性が高い薬です。
ビスフォスフォネートは腸で吸収され、すぐに骨に届きます。そして破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑えるのです。
骨吸収がゆるやかになると、骨形成が追いついて新しい骨がきちんと埋め込まれ、骨密度の高い骨が出来上がります。

最近では、より確実な効果を得るため、注射製剤も使用されるようになっています。
SERM(サーム:塩酸ラロキシフェン)
骨に対しては、エストロゲン(女性ホルモン)と似た作用があり、骨密度を増加させますが、骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響を与えません。
カルシトニン製剤(注射薬)
骨吸収を抑制する注射薬ですが、強い鎮痛作用も認められています。骨粗鬆症に伴う背中や腰の痛みに対して用いられます。

週一回、筋肉注射を行います。

PTH製剤(骨形成促進剤)

強力な骨形成作用がありますが、現在注射製剤しかありません。また一生涯に1.5-2年間のみしか使用が出来ません。

週一回施行と毎日施行の2種類があります。
骨粗鬆症の本邦での実態。

骨粗鬆患者は推計1300万といわれていますが、残念ながら医療機関で適切な治療を行っているのは、全体の2割程度といわれています。

 

骨粗鬆症のセルフチェック

1.腰背部のがんこな疼痛。2.腰のまがり。3.身長の低下。4.過去の骨折。5.歯数が20本未満。

これら1つでもあてはまれば、一度整形外科への受診をお勧めします。